Thoughts and Healing

政治もBTSも愛犬も本も映画も音楽も同じように考える日々

男らしさ女らしさの呪縛から解き放たれたらみんなもっと優しくて自由で楽で幸せになるかもしれない。そんなことを思わせてくれる曲とかMVとか🎧

テイラー・スイフト -  The Man MV 

日本語字幕あります。

最後の最後まで見てください~ 驚きがあるはず😲

男らしさの呪縛が、男性も女性もLGBTQの人たちも苦しめているのかもしれない

ちょうど新しいアルバム「THE TORTURED POETS DEPARTMENT: THE ANTHOLOGY」が出たばかりのテイラーの2019年に出されたThe Mantという曲。

「全速力で走るのはもうウンザリ、もしも私が男ならもっと早くたどり着けるのかな」という、切実な歌詞といわゆる古いステレオタイプの男らしさを揶揄するようなコミカルなMVになっています。

「もし自分が男性だったとしたら、これまでに下した選択や、成し遂げた功績、おかした過ちはどんな風にとらえられるだろう?」とイメージしながら作ったという楽曲「ザ・マン」には、世に蔓延する性差別やダブルスタンダードに斬り込んだ、グサッと来る歌詞 引用 https://front-row.jp/_ct/17344865

芸能界でトップにいると言っても過言ではないテイラーですら(成功したからこそよけい?)体型や異性関係、政治への言及などが大きなニュースになり、男だったら悪く言われなかったであろうことで色々言われてきました。

仕事で何か成し遂げようとすると女であることがマイナスや足かせや重しになるのは未だアメリカも同じようです。

このMVには本当にたくさんの隠しメッセージがあります。それについては、先ほど引用したFRONT ROWの記事 に詳しく説明されていますが、とても面白いのでぜひ一読ください。

この世に蔓延する性差別やダブルスタンダードに斬り込んだというこのThe Manですが、でもこれ、実は男性のための曲としても聴けるのではないかとふと思ったんです。

トキシック・マスキュリニティ

アメリカで男らしさの呪縛として「トキシック・マスキュリニティ」(社会が男性に対して“男らしさ”を設定し、その“らしさ”に沿わない行動や思想を罵ったり、バカにしたりして排斥することや、またはその概念)が注目されています。

アメリカのハイスクールもの映画なんかでよく出てきますが、体が大きくてアメフト選手みたいな男の子がかっこよくて人気者で強くていわゆるスクールカースト上位にいて、線の細い華奢な男の子や、フェミニンな優しい男の子は馬鹿にされたりいじめられたりするような価値観。大人の世界でもいわゆる男らしい男が成功して女にもてるというような偏見。

このトキシック・マスキュリニティという概念が男性自身を苦しめるだけではなく、同性愛者やトランスジェンダーへの差別や女性差別にも繋がるということは真剣に考えるべきことだと思います。だって男性も含めて誰も幸せじゃないですよね😣

男らしさの呪縛は、男性の間で多様性をかき消し、その“らしさ”に共感できない男性は苦しむことになる。また、そんな“男らしさ”に従う男性もまた、悩みを相談できなかったり、男らしさをキープしなければという緊張にさらされたり、苦しむことになる。(中略)

男らしさの呪縛は、“ホモソーシャル”によって深まっていくと言われている。ホモソーシャルとは、同性同士、とくに男性同士の繋がりのことを指す言葉。男性同士は、男らしさの呪縛が作り出した“女が好き”“男の友情”といったような価値観を共有して絆を深める場合があり、すると例えば、男性同士はその友情を証明するために同性愛を否定することになる。そしてその結果、同性愛差別に結びつきやすい。(中略)

 そして男らしさの呪縛は、女性差別を引き起こすことにもなる。“男なら女をモノにできなくてはいけない”といった価値観は、女性の意思を無視した不適切な扱いに繋がりやすい。そして、男性から女性への性加害は“男らしさ”で片づけられてしまうこともある。例えば女性の外見について性的なコメントをすること、お風呂を覗くこと、スカートめくり、嫌がる女性と性行為に及ぶことなどが、男だから仕方ないと肯定的に描かれているフィクション作品はいまだに多い。

front-row.jp

上記引用した記事がとても良かったので、これについては別でまた書けたらいいなと思いました。

テイラーのThe Manに戻りますが、MV最後まで見て頂いたらここに出てきた男性をテイラーが演じていたというサプライズ、わかりましたか?すごい特殊メイクと演技力ですよね😆

そのサプライズ前のテニスのシーンの最後、女性監督はテイラーでした。テイラーが彼に「もう少しセクシーにできるかしら?好感度をあげて」と言うセリフ。こういうシーンで女性がよく言われることを皮肉として男性に言っているのでしょう。セクシーにしたらもっと好感度があがるという世界。日本の場合は、セクシーさが求められるケースと幼く純粋で従順なかわいさを求められるケース両方があると思いますが、どちらにしても女性に対してのステレオタイプな理想という意味では同じだと思います。

男性も女性も誰が決めたのかわからない古いステレオタイプの「らしさ」を要求され、そのステレオタイプにだけ価値や魅力があるとする世界でジャッジされるて生きるのは、誰にとっても窮屈で苦しくつまらないなと思います。

ビリー・アイリッシュ- bad guy MV

IFPI(国際レコード産業協会)によって2019年全世界で最も売れたシングル“Biggest Global Single of 2019”に認定された bad guy

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bad guy なのは男性だけとは限らない

タフで乱暴な悪い男に振り回されてる女の話かと思いきや、bad guyなのはわたし。

ママを泣かせたり彼女に怖がられたりするような、彼女のいる人とつきあったり、彼のコロンをつけて彼女に会うような、ママが男たちを哀れんでしまようなbad guyのわたし。

悪い男に振り回されたり泣かされたりする女じゃない。男のために膝にあざができるようなことをしてあげるのも、あなたのためじゃないから、お礼もお願いも必要ない。わたしはしたいようにするだけ。

彼女が私を怖がってるって?彼女とは見てるものが違うの。それは多分私はあなたのコロンをつけてるから。

”彼女”は多分いわゆる女らしい品行方正な女の子、ママを泣かせたりしない。でも私はあなたのコロンをつけてる。彼女とは見てるものが違う。タフで乱暴で彼女がいるのに私とつきあうようなbad guy のあなたと同じものを見てる。わたしはbad guyだから。そう読み取るのは深読みしすぎでしょうか。

女が悪い男みたいなことをするとビッチだとか尻軽とかただただ悪く言われるけれど、男だとちょっと違います。同じことをしても女だと軽蔑されるだけで男だと何らかの価値をおかれる場合があることへの皮肉もあるような気もします。テイラーのMVでも女性をはべらせてる男性を描いていて、そこでも女性が同じことをしたらどう思う?というダブルスタンダードへの皮肉がありました。

ただ、このbad guyについてのそういう解説は(調べが足りないのかもしれないですが)今のとこみつからないので、ここだけの私個人の深読みした勝手な解釈として聞いておいてください。

セクシーでちょっと頭がわるいくらいがいい女という古いステレオタイプ

体のラインを強調するような下着みたいな衣装を着てセクシーさをアピールする歌手が多いなか、ビリーアイリッシュはだぼだぼのトレーナーやパンツ姿のイメージが強いです。女らしさというものが、日本よりもさらにセクシーさに重きをおくようなアメリカの特にショービジネス界ではそれだけでも新しさを感じたのではないでしょうか。もちろんその楽曲の新しさは言うまでもなく。

これまでたびたびボディシェイミングに対して反論してきたビリー・アイリッシュ。インタビューやSNSを通じて自分が快適であることが大切なこと、体を見せる服を着るのも見せない服を着るのもその個人が決めることだと主張してきた。でも自分の体を受け入れるようになるまで葛藤があったと明かしている。新聞「ガーディアン」のインタビューを受けたビリーは「これまで見たことがないような体型の人をネット上で見ると即、『なんてこと、どうしてこんなルックスなの?』と思う。私はこの業界の裏も表も知っているし、人が実際に何を写真に使っているのかも、リアルに見えるものが偽物でありえることも知っている。それでもそういう写真を見ると『本当に気分が悪くなる』って思った」。

ビリー曰く「私は自分に自信を持っている。自分の人生にも満足している。言うまでもないけれど自分の体型は気に入ってない。でもそうでない人がいる?」。「私たちは食べて歩き回って排泄するのに体が必要なだけ。体は生存のために要る。そもそも誰もが体のことを気にするなんて馬鹿げている。なんで? なぜ気にするの? それについて考えてる?」。

www.elle.com

セクシーが悪いわけではもちろんないです。ただ、アメリカで言えばブロンドで胸の大きいセクシーで少し頭が悪い女が魅力的みたいな(マリリンモンローが象徴するような*1)そういうステレオタイプだけが女のあるべき姿、もてはやされる姿になってしまっていたら、男らしさと同様、狭い価値観に押し込められて苦しいと思います。

テイラーの曲のところで、日本ではセクシーさが求められるケースと幼い純粋で従順なかわいさを求められるケースがあると書きましたが、この幼く純粋で従順なかわいさというのがアメリカでいうところのちょっと頭が悪いっていうこととイコールな気もします。意見をもったり理屈をこねたり男にたてついたりしない、っていう感じでしょうか。そんな中身とセクシーな体をもっていたら最高な女っていう考え方。

でもここでビリーはご覧のような衣装でbad guyな女性の歌を歌っています。それはやっぱりとても新しくてかっこよくて、一躍人気が出たのも当然だと思います。

ショーン・メンデス Wonder MV

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泣いたり弱音を吐くのは男らしくない?

仕事で成功して有名になって色んな人に色んなことを言われるようになって、本音を言ったり発言するのも怖くて友達を失うのも怖くて、だけどそんな孤独と恐れの中でも泣くことは男らしくないと思ってしまっている自分。でも苦しくて怖くて寂しくて。そんな自分の横に君が同じ気持ちでいてくれて愛してくれて最後には全てきっとうまくいくと言ってくれたらどんなに幸せだろうと夢みている、そんな気持ちを歌った曲かなと聴きました。こうした弱さや孤独や不安などの感情を表すことも「男らしくない」と言われてしまうような状況が男性の置かれている立場だとしたら、それはやっぱりとても辛いと思うし、精神的に参ってしまう人が多くなるのも当たり前だと思います。

どうしてこんなに 怖いんだろう 間違った発言をしてしまうのが

自分が聖人だなんて言ったことはないのに

両手に顔をうずめて泣くとき 

どうしてそれは男らしくないことだって 感じてしまうんだろう

有害な男らしさからの解放

「私の場合、不安を引き起こしていた原因のほとんどが、有害な男らしさでした。いつでも強くなければいけない、悲しんだり不安を感じたり取り乱したりしてはいけないという気持ちです」

「だけど、そういった感情を受け入れ、涙を流し、感情を解き放つことこそが、本当の強さだとわかったんです」

www.huffingtonpost.jp

ショーンのように、男性たちが解放されて、楽に自由になれるといいなと思います。

最後に:有害な男らしさの正反対にあるBTSの世界を見れば・・・

この記事を書いていて、私の好きなBTSは有害な男らしさとは真逆にあるなと思って、それが好きな理由の一つでもあるなと改めて思いました。

メイクをして髪色をカラフルに染めてスキンケアやダイエットのことを隠さず語るのもそうですが、とてつもない努力と苦労のあとに賞をとって信じられなくて嬉しくて泣いたり、コンサートでうまくできなくて悔しくて泣いたり、コロナでコンサートができず悲しくて泣いたり、色んな辛い思いや不安や残念な気持ちや精神的な不調についても隠さずにARMY(ファン)に伝えたり、メンバー同士お互いを気遣い、尊重し、泣いているメンバーを抱きしめていたわり合う姿も、仲良しでわちゃわちゃしてる様子も、特にアメリカでいうところのManly(男らしい)でホモソーシャルな世界が当たり前で慣れていた人たちには、驚くような新しい男の子たちに見えたのではないでしょうか。そういう新しいものには反発する人もきっととても多かったと思いますが、それは新しい価値観が生まれるときには避けては通れないものかもしれません。

だけどどんな理屈よりも、感動させられたり癒やされたり楽しくて笑ってしまったりするBTSの世界を見ていたら、古い男らしさなんてほんとにいらないなってつくづく思います。男性にとっても女性にとってもLGBTQの人たちにとっても誰にとっても不要で有害な男らしさから解放されて、結果女らしさのステレオタイプもなくなったら、どんなにか優しく自由で幸せな世界になるでしょうか。

【BTS 日本語字幕】メンバー仲良しシーンまとめ♡〔動画〕

こんなわちゃわちゃ仲良しな様子をみているだけで幸せな気持ちになります。 ARMYちゃんnelさんの動画ご紹介します。

youtu.be

 BTS Emotional Moments〔動画〕

素直に美しい涙を見せるのも素敵です。ちょっと日本語訳が微妙ですが、名シーンが詰め込まれています。KPOP VGKさんの動画ご紹介します。

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【BTS】メンバーを褒めまくる防弾少年団集めてみた〔動画〕

メンバーを褒めまくる防弾少年団も最高です。あみ子さんの動画ご紹介します。

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おまけ 米国でのBTS人気が浮き彫りにした「男らしさ」の落とし穴

調べていたら、こんな記事も見つけたので紹介しておきます。

メンバー7人の振る舞いは、感情表現や気遣いなどを大切にしており、感情の抑制や孤独を強いる「男らしさ」とは対極にあるように見えるのです。

(中略)

ネット上には7人の私生活や舞台裏を追った動画が山ほどあふれています。そこでは、笑ったり泣いたりという感情は否定されていません。互いに何を感じ、何に苦しんでいるのかに気を遣い、話をよく聞き、いたわり合っています。ファッションに関心があり、ピアスなどをつけ、スキンケアにも熱心です。そして日々、「ちゃんとご飯を食べている?」「十分に休めた?」と互いに気を配っているのです。

telling.asahi.com

 

 

古くてステレオタイプな男らしさ女らしさの呪縛から解き放たれて、みんなもっと優しくて自由で楽で幸せに生きられますように🐾

 

*1:マリリンは頭が悪かったんじゃなくてそのほうが男性に受けていろいろうまくいくからそう演じてみせていたんだと思っていますが