2月に読み終えた本も1月と同じ6冊となりました~これが限界なのか。
成瀬は信じた道をいく
まずは成瀬は天下を取りに行くの続きを読みました。安心して読めるシリーズになっていきそうですね。相変わらずの成瀬と彼女を取り巻く人々が滋賀で巻き起こす様々なできごと。こんな世の中だからこそ、元気になれる成瀬の物語は求められると思います。大学生になった成瀬を見たいという読者の願いに応えるべく、きっと次も出るはず、と思ってます😊成瀬だけじゃなくて、周囲の人がどうしているかも気になるし。
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!
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丸の内魔法少女ミラクリーナ
村田沙耶香さんの地球星人を読んだあとに再読。村田さん作品の中では読みやすい短編集だと思います。特に表題作の丸の内魔法少女ミラクリーナはめずらしく?読後感もいいお話になっていると思います。とはいえやっぱり村田さんにしか書けない作品だと思います。
世界にあふれる理不尽や呪縛から、人生を解き放つ魔法がここにある!
36歳のOL・茅ヶ崎リナは、オフィスで降りかかってくる無理難題も、何のその。魔法のコンパクトで「魔法少女ミラクリーナ」に“変身”し、日々を乗り切っている。だがひょんなことから、親友の恋人であるモラハラ男と魔法少女ごっこをするはめになり…ポップな出だしが一転、強烈な皮肉とパンチの効いた結末を迎える表題作ほか、初恋を忘れられない大学生が、初恋の相手を期間限定で監禁する「秘密の花園」など、さまざまな“世界”との向き合い方を描く、衝撃の4篇。
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これも気になります!!
小説家の作り方
今回本屋大賞に「小説」がノミネートされいてる野崎まどさんの「小説家の作り方」をKindle Unlimitedで読みました。ネタバレになるので詳しくは話せませんが・・・2011年に発売された作品なので、その当時に比べると今ではかなり現実味のある話になっていると思います。私は「小説」で初めて知った作家さんなのですがずいぶん前から色々書いていてKindle Unlimitedにもたくさんあったので他も読んでみたいです。
”この世で一番面白い小説”。その一つの答えが、ここにある。
駆け出しの小説家・物実の元に舞い込んだ初めてのファンレター。そこには、ある興味深い言葉が記されていた。「この世で一番面白い小説」。あまねく作家が目指し、手の届かないその作品のアイディアを、手紙の主は思いついたというのだ。
送り主の名は、紫と名乗る女性。物実は彼女に乞われるがまま、小説の書き方を教えていくのだが――。
鬼才・野崎まど新装版シリーズ第4弾。「小説家を育てる小説家」が遭遇する非日常を描く、ノベル・ミステリー。
これも読みたい!
DTOPIAデートピア
芥川賞受賞作。以前の記事で迷彩色の男やジャクソンひとりを読みたいと書きながら読めないうちに芥川賞とっちゃいました。そしてこちらの受賞作から読むことに。恋愛リアリティショーという設定が派手で一人歩きしてる気もしますが、実際はリアリティショーそのものや恋愛はどうでもいいというかあんまり関係なくて、そこで描きあぶり出されるのは、ガザの虐殺、植民地主義、人種差別、核実験、ジェンダー問題などなど、帯の柳美里の言葉を借りれば「現実世界で排除された不都合で不穏でヤバい」ことたち。それをきれいごとや正義として語るのではなく、虐げられている側からの「強烈な皮肉とクールな文体」(佐藤究)で書かれる「ねじ伏せられない悪意と復讐」(水上文)だ。
恋愛リアリティショー「DTOPIA」新シリーズの舞台はボラ・ボラ島。ミスユニバースを巡ってMr.LA、Mr.ロンドン等十人の男たちが争う──時代を象徴する圧倒的傑作、誕生!
第172回芥川賞受賞作
安堂ホセは、物語の磁石を持っている。現実世界で排除された不都合で不穏でヤバい砂つぶてのような言葉を、暴力と倫理の磁石で吸い寄せ、反発させ、交渉させ、渦巻かせる。あらゆる倫理が覆され、暴力が吹き荒れている今、「暴力から暴を取りはずす旅」の物語が出現したことは、一つの事件だ。読もう! 旅立とう! 旅によって運ばれるのは、あなた自身だ。
ーー柳美里
いくつもの物語が交じり合い、壮大な展開が繰り広げられ、「失われた歴史」が復元されるラストに感動した。
ーー高橋源一郎
強烈な皮肉とクールな文体。
私たちの眼差しを切り開く手術(オペ)のような小説。
どこへ連れていかれるのかわからず、ひと晩で読み終えた。
ーー佐藤究
語りと構造、ストーリーの面白さの中に、資本主義や植民地主義、ウクライナ戦争やガザでの虐殺についての鋭い批判が、当然のように滑り込む。
極めて刺激的かつ、開放的。国境を越えて、世界にリコメンドしたい。
ーー須藤輝彦
この小説を読むことは自らの感性を問い直すことである。
異性愛主義や人種という不適切なカテゴライズにあらがうための、必読の一作。
ーー渡邉英理
典型的な物語に閉じ込められないための強烈な意志、ねじ伏せられない悪意と復讐がこれほどまでに徹底された作品はなかなかない
ーー水上文
みどりいせき
これも以前の記事で読みたい本としてあげていたもの。やっと読みました。若者の「バイブス*1が私にわかるか不安で、実際書き出しのところは文章の意味がつかめなくて何度も読み直したりもしたのですが、「春」の意味がわかれば理解できる文章でした。それでもしばらくは独特のリズムでつかみにくい文章かもしれません。DTOPIAもそうだったのですが、読む人によっては不親切な文章だと感じるかもしれない、でも多分それもわざとそうしているので、それによって生まれる空気感や世界があると思います。それがバイブスなのかも。でもみどりいせきは途中から急に読みやすくわかりやすくなったと思います。語り手の気持ちがわかりやすくなったというかついていけるようになります。起こるできごとや内容は案外普遍的なことだったと思います。それは悪い意味ではなくて、いつの時代の若者にも通じる普遍的な苦しみや閉塞感や生きにくさや友情や世の中や大人への不信やあがきみたいなものが、現代の令和の若者の”バイブス”で書かれているという気がしました。
【第37回三島由紀夫賞受賞作】
【第47回すばる文学賞受賞作】
【選考委員激賞!】私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた──金原ひとみさん
この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの──川上未映子さん
(選評より)このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた──。圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作! ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く。
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どうしても生きてる
こちらに書きました😊
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死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
最後に
2月はなかなか読み応えのある小説が多かったです。DTOPIAとみどりいせきはできれば個別にもっと読み込んで書きたいです。純文学は短くても読むのに時間かかっちゃいますね。2回は読まないとわからないことも多いかもです。でもエンタメとは違う楽しさというか面白さがあるんですよね。頭が刺激されます。疲れますけども!エンタメにはエンタメの良さがあるし、どちらもバランスよく読んでいきたいです。
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*1:雰囲気や空気感、ノリ、高揚感、テンション、周囲から受ける感じ、いい感じ、ノリ、フィーリング