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防衛費過去最大の増額、攻撃的武器の配備、武器の輸出・・・日本はどこへ向かっているの?

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先日上記のような記事を書きました。その後、ロシア・ウクライナ情勢もイスラエル・パレスチナ情勢も好転している様子は見られません。このような国際情勢の中で、日本の政治的、軍事的立場はどうなっているのか、前回の最後に日米同盟について書きました。今までこの日米同盟によるアメリカの核の傘の下で安全を守ってきた日本ですが、ロシアのウクライナ侵攻、台湾統合への意欲を強める中国、北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイル発射をはじめ、安全保障をめぐり厳しさを増す周辺環境によって、あるいはアメリカの意向によって、自民党はいつの間にか防衛費を大幅に増額して軍備力を増強したり、作った武器を海外に輸出できるようにしたりしています。今後、日本は軍事的にどうなっていくのか、ただ不安に思っているだけではよくないので、出来る範囲で調べて考えたいと思います。

 

防衛力整備計画

日本国自衛隊の保有すべき防衛力の水準を示し、その水準を達成するための中・長期的な整備計画が「防衛力整備計画*1」です。

もともとは「中期防衛力整備計画」として2018年に策定されたものが、2022年に「防衛力整備計画」として、中・長期的な計画となり、自衛隊の保有すべき防衛力の水準を示し、その水準を達成するための方針や主要な事業を包括するものとなりました。(2022年12月16日に国家安全保障会議と閣議で決定)

防衛費 過去最大の増額

これにより、23年度から27年度までの防衛関連経費の総額約43兆円になり、中期防衛力整備計画(19年度からの5年間)の総額27兆5,000億円の約1.6倍という、過去最大の増額となりました。

国民1人当たりの防衛費の負担額は年間約4万円とされていたものが、27年度には約7万円となり、3万円程度の負担増となる予定です。

日本の防衛費は、1976年に当時の三木武夫内閣が「GDPの1%」という閣議決定をして以降、おおむねその水準で推移してきましたが、今回、岸田文雄首相は一気に「GDP2%」への倍増を指示したことになります。

攻撃的な武器の配備

岸田政府は、防衛力整備計画を決定したのと同じ日の閣議で「国家安全保障戦略」など防衛3文書を改定しました。「専守防衛」を掲げる日本は、これまで他国の領土に届く攻撃的な武器の配備などを行ってきませんでしたが、この改定で敵基地攻撃など「反撃能力」を保有する方針についても決定しました。これで敵基地を攻撃することができるような武器を配備できるようになったということです。

政府が防衛費大幅増額の方針を決定 それに伴う増税の中身を解説 | MONEYIZM

日本の防衛費、増額めざす理由は? - 日本経済新聞

日本政府、防衛費の大幅拡大を閣議決定 中国の脅威を理由に - BBCニュース

安定性が脅かされる中、防衛強化を加速する日本 | Indo-Pacific Defense Forum

武器の輸出と国際共同開発

日本政府は、2023年12月22日に、防衛装備品*2の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」*3と運用指針を改定しました。

  • 外国企業からライセンス(使用許可)を得て国内で製造する「ライセンス生産品」について、輸出先を米国以外のライセンス元国にも拡大し、完成品も含む輸出を解禁。従来は、ライセンス元が米国の装備品を対象に部品のみ輸出可能だった
  • ライセンス元から第三国への輸出について、人の殺傷や物の破壊を目的とする武器などは「現に戦闘が行われていると判断される国」への提供を除くと明記した
  • 輸出に当たっては、日本と世界の安全保障に与える影響や装備品の性質などについて、政府の国家安全保障会議で審査輸出先から第三国への輸出は事前の同意が要件

引用元 

【防衛装備移転】政府、運用指針を改定 | ニュース | 公明党

 

防衛装備移転三原則について|内閣官房ホームページ

「防衛装備移転三原則」等の一部改正について|外務省

防衛省・自衛隊:「防衛装備移転三原則」等の一部改正について

【防衛装備移転】政府、運用指針を改定 | ニュース | 公明党

防衛装備移転三原則とは 安保に寄与なら輸出を容認 - 日本経済新聞

防衛装備移転三原則|外務省

 

現に戦闘が行われていると判断される国へ輸出できないなら、たとえばウクライナやイスラエルに日本で作った武器を送って使われることはないから、戦争や殺戮には加担していないのではないか?と思った人はこちらの記事を見てください。

政府が三原則の改定を発表した直後、外務省は自衛隊が保有するパトリオット・ミサイルの米軍への移転を発表した。声明で、同ミサイルを「米国に移転し、米軍の在庫を補完することは、米国との安全保障・防衛協力の強化に資するとともに、我が国の安全保障及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与するものであることを日米間で確認しており、我が国の安全保障の観点から積極的な意義を有する」と説明している。

また、インド太平洋地域以外に展開する米軍を含むアメリカ政府以外へ、さらに提供されないこと、目的外の使用や第三国への移転については、日本の事前同意を得ることを「米国政府に義務付ける」ことなどが、発表に盛り込まれている。

日本は引き続き、戦争当事者への武器輸出を禁止している。

ただし、今回の改正によって、アメリカは日本製のパトリオット・ミサイルで自国の備蓄を補充できるようになる。そうすれば、アメリカ政府は自国製の同型ミサイルをウクライナに送れるようになる。- BBC News Japan

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日本の核武装はありうるのか?

まさか、と思いつつも軍事費を過去最大に増加したり武器を共同開発・輸出できるようにしたりという重要な内容を閣議決定で進めている岸田内閣の動きを見ていると、唯一の被爆国である日本なのに、核武装ですら閣議決定で決めてしまいそうで恐ろしいです。

どうすれば日本は核兵器の保有を真剣に検討するのか――。ばかげた着想ではある。日本は世界で唯一、核攻撃を受けた国だ。しかも2回も。日本の核武装など想像できない。国民が認めるはずがない。そうではないか?

そのとおりだ。

と言うか、過去77年間はそうだった。

しかしここ数週間、日本の1人の政治家が、違ったことを言い出している。首相在任期間の最長記録をつくった安倍晋三氏だ。日本は現実に核兵器について、真剣かつ緊急に考えるべきだと、声高に公言し始めたのだ。ーBBC NEWS JAPAN

これは、2022年3月30日のBBC NEWS JAPANの記事からの引用です。全文はこちら

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日本の安全を守るために何をするべきなのか

もちろん、アメリカの核と軍事力にだけ頼っていて、日本の安全が守れるのか?という不安はあります。今年、アメリカの大統領選で共和党のトランプが勝ったら?アメリカが他国のために戦うことに反対しているトランプが勝った場合どうなるか?日本からアメリカ軍を撤退させるかもしれません。日米安保に頼ってアメリカの傘の下にいることは難しくなるかもしれません。逆に台湾有事が起こってもアメリカが台湾を支援せず、世界大戦にならないかもしれない。アメリカがウクライナ支援から手を引いてロシアの勝利になってしまうかもしれない。不透明で先の見えない社会情勢で、日本も自分たちの国は自分たちで守れるようにしなくてはならないのでは?という気持ちになるのもわかります。

ただ、今、日本が軍事力をあげたとして本当にそれが平和のための抑止力になるのでしょうか?あるいは戦争になったとき、本当に国民を日本を守れるのでしょうか?

そもそも、食料時給率が38%しかなく、一次エネルギー供給の約4割を占めている石油は約99.7%を輸入に依存しているような日本の現状を見ると、輸入を止められただけで、戦う前に自滅してしまいそうです・・・

その武器や戦闘機に高額の税金投入するのは正しい選択か?

防衛のための軍備の増強についても不安なニュースをよく聞きます。アメリカから400発購入予定の「トマホーク」(相手のミサイル発射拠点などを攻撃する「反撃能力」の手段として使用される巡航ミサイル)ですが、1970年代に開発され、80年代から配備が始まった古いミサイルといわれており「時速900キロの速度はペラで推進するゼロ戦の600キロより300キロ速いだけ。ロケット弾で簡単に撃墜されるレベルです。ほぼ100%、着弾前に撃墜される」と言う人も。そんな古いミサイルをアメリカでの倍の値段で売りつけられているというのが本当だとしたら、抑止力どころかはったりにもなりません。。。防衛費の使い道、日本の防衛力、そもそもの知識や政治外交力について、疑問と不安が」膨らむばかりです。こんな状況を鑑みると、日本の防衛のためには、軍備よりむしろ外交に力をいれるべきなのではないかと思います。

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ちなみに2019年、日本政府は高額な費用がかかることで知られる米国製のステルス戦闘機F35を大量に購入することを決定しましたが、このF35はその前に墜落事故を起こしており(下記ニュース参照)、性能や信頼性に疑問がありました。しかもアメリカは日本がF35を大量に買うことを決めた後に、日本が退役させると決めたF15を80機も購入すると発表しました。理由として「維持管理費の面ではF15EXはF35の半分以下で、機体寿命の面ではF15EXはF35の2倍以上であると述べた」とのこと。アメリカは性能に疑問があるF35を日本に高額で売りつけ、自分たちはF15に切り替えようとしているかのように見えてしまいます。

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このように、たとえ防衛費を増加して軍備を増強させようとしても、ただアメリカのいらなくなったお古を高額で買わされているようでは、本当に強い軍備、反撃して守れるような軍備が整えられるとは思えません。戦争はすべきでないと考える人が多いなか、少子化が進み人口が減れば兵に志願する人も少なくなり、むりやり徴兵することになるでしょう。そして食料時給率が38%しかなく、一次エネルギー供給の約4割を占めている石油は約99.7%を輸入に依存している日本の現状では、輸入を止められただけで戦う前に自滅してしまいそうです。

そんな日本はどうしたらいいのか?

簡単に答えが出るくらいなら、世界はもっと平和でしょう。

それでも私は「軍備よりも外交」に力をいれるべきなのではないかと思います。

自分の国は自分で守れるようにすべき。それはその通りだと思います。でも、その方法については、最初から武力や戦争ありきとするのではなく、国会でしっかりと議論された上で、国民の意見を踏まえて決定すべきですし、あらゆる知識や外交力をつかって、どの国の人の血も流されることがないよう、出来うるかぎりの交渉をしてほしい。

それが簡単ではないということはもちろん承知の上で言っています。知識、政治力、外交力などをしっかりもったレベルの高い政治家・・・出てきてほしい。

少なくとも国会で審議もされず、閣議決定だけで重要なことを決められることはおかしいです。これでもし憲法改定されて、緊急事態条項などがつけられ、基本的人権の尊重も削除されてしまったら・・・いったいどんな恐ろしいことが簡単に決められていってしまうのか恐ろしくなります。

日本も世界も第三次世界大戦などにならないように、今が大事な時な気がします。

 

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*1:

計画の方針: 防衛力整備の基本的な方針や目標。
自衛隊の能力等に関する主要事業: 自衛隊の装備や訓練、技術の向上に関する具体的な取り組み。
日米同盟の強化: 日本とアメリカの協力を強化し、共同防衛の体制を整えること。
国民の生命・身体・財産の保護・国際的な安全保障協力への取組: 国内外での安全保障に対する取り組み。
防衛生産・技術基盤の強化: 防衛装備の開発や技術基盤の整備。
自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化: 自衛隊員の訓練や福祉の向上。

*2:自衛隊が使用する火器・誘導武器・電気通信・船舶・航空機・車両・機械・弾火薬類・食糧・燃料など

*3:政府が2014年に決めた防衛装備品の輸出や国際共同開発に関する原則。